Japanische Klassiker mit Furigana
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もゆるほお
燃ゆる頬・聖家族
堀 辰雄
Lesen Sie 燃ゆる頬・聖家族 (もゆるほお) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.309 Zeichen · 144 Bildschirme
お前はそれを着るのをいやがっていた。いままでのお前の海水着には、どうしたのか、胸のところに大きな心臓型の孔があいてしまったのだ。そこでお前は間に合わせに、あんまり海へはいらない、お前の姉の奴を、借りて着ているのだ。この村では、新しい海水着などは手に入らなかった。一里ばかり向うの、駅のある町まで買いに行かなければ。――そこで或る日、私はテニスの失敗をつぐなう積りで、自分から、その使者を申し出た。
「何処かで自転車を貸してくれるかしら?」
「理髪店のならば……」
私は大きな海水帽をかぶって、炎天の下を、その理髪店の古ぼけた自転車に跨って、出発した。
その町で、私は数軒の洋品店を捜し廻った。少女用の海水着の買物がなんと私の心を奪ったことか! 私はお前に似合いそうな海水着を、とっくに見つけてしまってからも、私はただ私自身を満足させるために、いつまでも、それを選んでいるように見せかけた。それから私は郵便局で、私の母へ宛てて電報を打った。「ボンボンオクレ」
そうして私は汗だくになって、決勝点に近づくときの選手の真似をして、死にものぐるいの恰好で、ペダルを踏みながら、村に帰ってきた。