Japanische Klassiker mit Furigana
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もゆるほお
燃ゆる頬・聖家族
堀 辰雄
Lesen Sie 燃ゆる頬・聖家族 (もゆるほお) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.309 Zeichen · 144 Bildschirme
それはもうこの高原を立ち去ってゆく人人らしかった。
町へはいろうとするところに、一本の大きい栗の木があった。
彼はそこまで来ると自動車を停めさせた。
※(アステリズム、1-12-94)
自動車は町からすこし離れたホテルの方へ彼のトランクだけを乗せて走って行った。
それのあげた埃が少しずつ消えて行くのを見ると、彼はゆっくり歩きながら本町通りへはいって行った。
本町通りは彼が思ったよりもひっそりしていた。彼はすっかりそれを見違えてしまうくらいだった。彼は毎年この避暑地の盛り時にばかり来ていたからである。
彼はしかしすぐに見おぼえのある郵便局を見つけた。
その郵便局の前には、色とりどりな服装をした西洋婦人たちがむらがっていた。
歩きながら遠くから見ている彼には、それがまるで虹のように見えた。
それを見ると去年のさまざまな思い出がやっと彼の中にも蘇って来た。やがて彼には彼女たちのお喋舌りが手にとるように聞えてきた。彼は彼女たちのそばをまるで小鳥の囀っている樹の下を通るような感動をもって通り過ぎた。
そのとき彼はひょいと、向うの曲り角を一人の少女が曲って行ったのを認めたのである。