Japanische Klassiker mit Furigana
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ちち
父
Lesen Sie 父 (ちち) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.298 Zeichen · 15 Bildschirme
家の者は、私に気づかぬ振りをしていたが、その傍に立っている上の女の子は、私を見つけた。女の子は、母の真似をして、小さい白いガーゼのマスクをして、そうして白昼、酔ってへんなおばさんと歩いている父のほうへ走って来そうな気配を示し、父は息の根のとまる思いをしたが、母は何気無さそうに、女の子の顔を母のねんねこの袖で覆いかくした。
「お嬢さんじゃありません?」
「冗談じゃない。」
笑おうとしたが、口がゆがんだだけだった。
「でも、感じがどこやら、……」
「からかっちゃいけない。」
私たちは、配給所の前を通り過ぎた。
「アパートは? 遠いんですか?」
「いいえ、すぐそこよ。いらして下さる? お友達がよろこぶわ。」
家の者にお金を置いて来なかったが、大丈夫なのかしら。私は脂汗を流していた。
「行きましょう。どこか途中に、ウイスキイでも、ゆずってくれる店が無いかな?」
「お酒なら、わたくし、用意してありますわ。」
「どれくらい?」
「現実家ねえ。」
アパートの、前田さんの部屋には、三十歳をとうに越えて、やはりどうにも、まともでない感じの女が二人、あそびに来ていた。そうして色気も何もなく、いや、色気におびえて発狂気味、とでも言おうか、男よりも乱暴なくらいの態度で私に向って話しかけ、また女同士で、哲学だか文学だか美学だか、なんの事やら、まるで