Japanische Klassiker mit Furigana
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ちちかえる
父帰る
菊池 寛
Lesen Sie 父帰る (ちちかえる) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.615 Zeichen · 16 Bildschirme
賢一郎 新二郎! お前はその人になんぞ世話になったことがあるのか。俺はまだその人から拳骨の一つや二つは貰ったことがあるが、お前は塵一つだって貰ってはいないぞ。お前の小学校の月謝は誰が出したのだ。お前は誰の養育を受けたのじゃ。お前の学校の月謝は、兄さんがしがない給仕の月給から払ってやったのを忘れたのか。お前や、たねのほんとうの父親は俺だ。父親の役目をしたのは俺じゃ。その人を世話したければするがええ。その代り兄さんはお前と口は利かないぞ。
新二郎 しかし……。
賢一郎 不服があれば、その人と一緒に出て行くがええ。
(女二人とも泣きつづけている。新二郎黙す)
賢一郎 俺は父親がないために苦しんだけに、弟や妹にその苦しみをさせまいと思うて夜も寝ないで艱難したけに、弟も妹も中等学校は卒業させてある。
父 (弱く)もう何もいうな。わしが帰って邪魔なんだろう。わしやって無理に子供の厄介にならんでもええ。自分で養うて行くぐらいの才覚はある。さあもう行こう。おたか! 丈夫で暮せよ。お前はわしに捨てられてかえって仕合せやな。
新二郎 (去らんとする父を追いて)あなたお金はあるのですか。