Japanische Klassiker mit Furigana
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ちちかえる
父帰る
菊池 寛
Lesen Sie 父帰る (ちちかえる) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.615 Zeichen · 16 Bildschirme
晩の御飯もまだ食べとらんのじゃありませんか。
父 (哀願するがごとく瞳を光らせながら)ええわええわ。
(玄関に降りんとしてつまずいて、縁台の上に腰をつく)
おたか あっ、あぶない。
新二郎 (父を抱き起しながら)これから行く所があるのですか。
父 (まったく悄沈として腰をかけたまま)のたれ死するには家は要らんからのう……(独言のごとく)俺やってこの家に足踏ができる義理ではないんやけど、年が寄って弱ってくると、故郷の方へ自然と足が向いてな。この街へ帰ってから、今日で三日じゃがな。夜になると毎晩家の前で立っていたんじゃが、敷居が高うて入れなかったのじゃ……しかしやっぱり入らん方がよかった。一文なしで帰って来ては誰にやってばかにされる……俺も五十の声がかかると国が恋しくなって、せめて千と二千とまとまった金を持って帰ってお前たちに詫をしようと思ったが、年が寄るとそれだけの働きもできんでな……(ようやく立ち上って)まあええ、自分の身体ぐらい始末のつかんことはないわ。(蹌踉として立ち上り、顧みて老いたる妻を一目見たる後、戸をあけて去る。後四人しばらく無言)
母 (哀訴するがごとく)賢一郎!