Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かたこい

片恋

芥川 竜之介

Lesen Sie 片恋 (かたこい) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.505 Zeichen · 10 Bildschirme

Aozora Bunko

――そう云って、僕がからかったら、お徳の奴、むきになって、「そりゃ私だって、知りたかったんです。だけど、わからないんだから、仕方がないじゃありませんか。何しろ幕の上で遇うだけなんですもの。」と云う。

幕の上では、妙だよ。幕の中でと云うなら、わかっているがね。そこでいろいろ聞いて見ると、その恋人なるものは、活動写真に映る西洋の曾我の家なんだそうだ。これには、僕も驚いたよ。成程幕の上でには、ちがいない。

ほかの連中は、悪い落だと思ったらしい。中には、「へん、いやにおひゃらかしやがる。」なんて云った人もある。船着だから、人気が荒いんだ。が、見たところ、どうもお徳が嘘をついているとも思われない。もっとも眼は大分とろんこだったがね。

「毎日行きたくっても、そうはお小遣いがつづかないでしょう。だから私、やっと一週に一ぺんずつ行って見たんです。」――これはいいが、その後が振っている。「一度なんか、阿母さんにねだってやっとやって貰うと、満員で横の隅の所にしか、はいれないんでしょう。そうすると、折角その人の顔が映っても、妙に平べったくしか見えないんでしょう。私、かなしくって、かなしくって。