Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
かたこい
片恋
Lesen Sie 片恋 (かたこい) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.505 Zeichen · 10 Bildschirme
」――前掛を顔へあてて、泣いたって云うんだがね。そりゃ恋人の顔が、幕なりにぺちゃんこに見えちゃ、かなしかろうさ。これには、僕も同情したよ。
「何でも、十二三度その人がちがった役をするのを見たんです。顔の長い、痩せた、髯のある人でした。大抵黒い、あなたの着ていらっしゃるような服を着ていましたっけ。」――僕は、モオニングだったんだ。さっきで懲りているから、機先を制して、「似ていやしないか。」って云うと、すまして、「もっといい男」さ。「もっといい男」はきびしいじゃないか。
「何しろあなた、幕の上で遇うだけなんでしょう。向うが生身の人なら、語をかけるとか、眼で心意気を知らせるとか出来るんですが、そんな事をしたって、写真じゃね。」おまけに活動写真なんだ。肌身はなさずとも、行かなかった訳さ。「思い思われるって云いますがね。思われない人だって、思われるようにはしむけられるんでしょう。志村さんにしたって、私によく青いお酒を持って来ちゃくだすった。それが私のは、思われるようにしむける事も出来ないんです。ずいぶん因果じゃありませんか。」一々御尤もだ。こいつには、可笑しい中でも、つまされたよ。