Japanische Klassiker mit Furigana
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ぎゅうにくとばれいしょ
牛肉と馬鈴薯・酒中日記
国木田 独歩
Lesen Sie 牛肉と馬鈴薯・酒中日記 (ぎゅうにくとばれいしょ) von 国木田 独歩 (くにきだどっぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 54.018 Zeichen · 109 Bildschirme
ただ百円、その金銭さえあれば、母も盗賊にはなるまいものを。よし母は盗みを為たところで、自分にその金銭が有るならば今の場合、自分等夫婦は全く助かるものをなど考がえると、金銭という者が欲くもあり、悪くもあり、同時にその金銭のために少しも悩まされないで、長閑かにこの世を送っている者が羨ましくもなり、又実に憎々しくもなる。総てこれ等の苦々しい情は、これまで勤勉にして信用厚き小学教員、大河今蔵の心には起ったことはないので、ああ金銭が欲しいなアと思わず口に出して、熟と暗い森の奥を見つめた。
するとがやがやと男女打雑じって、ふざけながら上って来るものがある。
「淋しいじゃ有りませぬか、帰りましょうよ。最早こんな処つまりませんわ」という女の声は確かにお光。自分はぎょっとして起あがろうとしたが、直ぐ其処に近づいて来たのでそのまま身動きもせず様子を窺がっていた。人々は全たく此処に人あることを気がつかぬらしい。お光が居れば母もと覗がったが女はお光一人、男は二人。
「ねえ最早帰りましょうよ、母上さんが待っているから」と甘ったるい声。
「何故母上さんは一所に出なかったのだろう、君知らんかね」