Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぎゅうにくとばれいしょ

牛肉と馬鈴薯・酒中日記

国木田 独歩

Lesen Sie 牛肉と馬鈴薯・酒中日記 (ぎゅうにくとばれいしょ) von 国木田 独歩 (くにきだどっぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 54.018 Zeichen · 109 Bildschirme

Aozora Bunko

拾った金の穴を埋めんと悶いて又夢に金銭を拾う。自分は醒めた後で、人間の心の浅ましさを染々と感じた。

五月十七日

妻のお政は自分の様子の変ったのに驚ろいているようである。自分は心にこれほどの苦悶のあるのを少しも外に見せないなどいうことの出来る男でない。のみならずもし妻がこの秘密を知ったならどうしようと宅に在てはそれがまた苦労の一で、妻の顔を見ても、感付てはいまいかとその眼色を読む。絶えずキョトキョトして、そわそわして安んじないばかりか、心に爛たところが有るから何でもないことで妻に角立った言葉を使うことがある。無言で一日暮すこともあり、自分の性質の特色ともいうべき温和な人なつこいところは殆ど消え失せ、自分の性質の裏ともいうべき妙にひねくれた片意地のところばかり潮の退た後の岩のように、ごつごつと現われ残ったので、妻が内心驚ろいているのも決して不思議ではない。

温和で正直だけが取柄の人間の、その取柄を失なったほど、不愉快な者はあるまい。渋を抜た柿の腐敗りかかったようなもので、とても近よることは出来ない。妻が自分を面白からず思い気味悪るう思い、そして鬱いでばかりいて、折り折りさも気の無さそうな嘆息を洩すのも決して無理ではない。