Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ものすごきひとくいばなのかい

物凄き人喰い花の怪

国枝 史郎

Lesen Sie 物凄き人喰い花の怪 (ものすごきひとくいばなのかい) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.756 Zeichen · 12 Bildschirme

Aozora Bunko

とを、コックニー博士の手腕を以て交尾わせて出来たのがこの花だ! 博士はこの花の成長に良心までもうち込んだのだ! この素晴らしい怪物は花の形をした猛獣だ! この怪物は血の出るような生肉を一番食いたがる。嘘だと思うなら此の花の中へ誰か飛び込んで見るがよい!」

フィリッポ博士は憂鬱の声で斯う物凄く叫んだが勿論誰も花の中へ飛び込もうとはしなかった。その時一人の若い人夫が何と思ったか列から離れて村の方へ一散に走って行った。そして再び帰った時には仔牛ほどもある野犬の頸へ荒縄をつけて引いて来た。

「人間の代りに、さあ、犬だ!」

叫ぶと一緒にその人夫は犬を地の底へ蹴落した。キャンと一声鳴く間もなくもんどり打ってその犬は一つの花の上へ落ち込んだ。その瞬間に想像もつかない残酷の奇蹟が地底の花園で環視の裡に行われた。と云うのは他でもない犬が花の上へ落ちると一緒に上を向いていた花の弁が忽ち一度に方向を変え逃げようとく犬を包んでクルクルと内へ捲き込んだのである。犬の姿はもう見えない。花弁は犬を抱き込んだまま何時迄も何時迄も閉じている。

五分、十分、十五分! 博士を初め誰も彼も花の働きを見守ったまま片唾を飲んで立っていた。