Japanische Klassiker mit Furigana
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こぶ
犬田卯短編集 一
犬田 卯
Lesen Sie 犬田卯短編集 一 (こぶ) von 犬田 卯 (いぬたしげる) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 48.259 Zeichen · 96 Bildschirme
「みんなどうしたか。」
と彼はがらんどうの家を見廻して訊ねた。
「由次と勝は田植、さア子は今日は、出征家族の奉仕労働とかで、どうしても学校さいかなくてえなんねえなんて行っちまアし、おッちうらはその辺で遊んでいんだっぺ。」
「俺いなくて田植大変だっぺ。」
勇はこんどは土間のあたりを見廻した。貧しい小作百姓のむさ苦しい煤けた土間には、ごみごみした臼や古俵ばかりで何もなかった。
おせきは答えず、別のことを訊ねた。
「東京の方は外米だちけか。まずくてひどかっペ。」
「うむ、ひでえや、ぽそくさで、味も何もねえ。」
「ふでもどうだか、こっちの死米の麦飯と較べると、まアだ、外米の方がよくねえか。」
「うむ、どんなもんだかよ。」
「今年は、はア、洪水浸しの米ばかり残っていて、まアだ食いきれねえでいんだよ。いくら団子にしても、へな餅にしても、鶏や牛にやってもやりきれねえ。でもようやくあれだ、と一俵半くらいになった。そのあとに、合格米が三俵、まア、どうやら残っていっから、田植だけはこれで出来べえと思っているんだ。」
おせきはしみじみとそんなことを繰りかえした。勇が聞いているかいないかなどは確かめもせず。