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Japanische Klassiker mit Furigana

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こぶ

犬田卯短編集 一

犬田 卯

Lesen Sie 犬田卯短編集 一 (こぶ) von 犬田 卯 (いぬたしげる) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 48.259 Zeichen · 96 Bildschirme

Aozora Bunko

子供らの小遣銭にも不自由な日がやって来ていた。そういうやさき、また一つの難問題が降って湧いた。それは「米の調査」というこれまでかつて経験したことのない一事件だった。部落常会で助役さんの説明するところによると、今から一人宛米二合八勺として十月一日までの数量以上を持っているものは、たとい一俵でも二俵でも政府へ供出しなければいけない。それはこの日支事変を遂行するため、日本が勝って東亜の盟主になるため、是が非でも必要な処置であり、日本農民の、それが唯一の、この際の義務である……というのであった。

常会から帰った浩平にそのことを告げられると、おせきは夜半まで、まんじりともせずに、あれこれと胸の中で算盤を弾いた。――自家ではどうしても、これから百日と計算して、一家八人、割当だけでも約六俵は必要なのに……それが一俵しかない。うちには一俵しかございませんなどと調べに廻って来た役場や農会の方々の前に赤恥をかくようなことがどうして出来よう。――あと五俵、いや、出来ることなら六俵、それをどうしてこの際、工面したらよかったろうか。

考えても考えても、たよるのは産組へ出荷した大麦の代金だけしかなかった。