Japanische Klassiker mit Furigana
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くるいだこ
狂い凧
梅崎 春生
Lesen Sie 狂い凧 (くるいだこ) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 111.430 Zeichen · 226 Bildschirme
「でも、持たないものは仕様がないじゃないですか」
栄介はいらいらしながら言った。
「おやじが死んだのは事実だから、ウソと思うなら、家にでも下宿にでも問い合わせて下さい」
「死んだ?」
私服は栄介をにらみつけた。
「さっきは危篤と言ったじゃないか」
栄介はぐっと詰った。それから私服はいろいろと、交友関係や経歴など、下関につくまでの一時間ばかり、根掘り葉掘り問いただした。下関でやっと彼は不快な訊問から解放された。
「いやしげな顔をしてたな。あいつ」
連絡船の上から、遠ざかって行く下関市を眺めながら、栄介はあちこち視線を動かしていた。城介と別れて、道を間違えて出た暗い海岸は、どのあたりだろう。ほとんど見当がつかなかった。
「おやじのこと、城介に知らせるのはつらいな」
彼はふっとそんなことを考えながら、下関から眼を離し、船室に入って行った。疲労が重く肩にのしかかって来た。
危篤という電報は、やはり本当であった。あの時福次郎はまだ危篤状態にあったのだ。栄介が家に到着する十時間前に、福次郎は呼吸を引き取っていた。
「何でこんなに遅れたのだ!」
玄関で靴を脱ごうとした時、奥から幸太郎が出て来て、怒鳴りつけた。