Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
くるいだこ
狂い凧
梅崎 春生
Lesen Sie 狂い凧 (くるいだこ) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 111.430 Zeichen · 226 Bildschirme
「ずいぶん背中のとこが凹んでるだろう」
彼はしゃがめないから、戸袋に体をもたせたまま、暗い声で言った。
「しかしおれの背中は凹んでないんだぜ。その分だけふくれているんだ。つまりこれは背中の逆になっている。背骨の孔だって――」
「判ってるよ、そんなこと。説明して呉れなくても」
「そうか。それならいいが――」
ほんものでなく模造品だけれど、ついに見せてしまったので、栄介もすこしは気がらくになったらしい。口調がやや軽くなった。
「出来上った時に、これがほんとにおれの背中かと、おれは哀しかったよ」
「しかしこの程度の猫背は、そこらにざらにあるんじゃないのか」
私はやさしく言った。
「自分のものだから、オーバーに感じるんだ。型を取れば、僕だってそんなものだよ。そんなものだろうと思うよ」
「そう無理してなぐさめるなよ」
栄介は苦笑まじりに言った。
「おれはおやじの背中を考えていたのだ。おれが床ずれの手当をしてやった時、これと同じ曲り方で、同じようにふくらんでいた」
栄介の父福次郎は、彼が大学に入った二年目の秋に死んだ。脳卒中で倒れたきり、ついに起き上ることをしないで、半年後に息を引き取ったのである。