Japanische Klassiker mit Furigana
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ねことしょうぞうとふたりのおんな
猫と庄造と二人のおんな
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 猫と庄造と二人のおんな (ねことしょうぞうとふたりのおんな) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 68.020 Zeichen · 131 Bildschirme
「わて、よう抱きまへんよって、見に来とくなはれ。」
「行っても大事おまへんやろか。」
「直ぐ降りとくなはれや。」
「宜しおま。―――そしたら、上らして貰いまっさ。」
「早いことしなはれ!」
庄造は、狭い、急な段梯子を上る間も胸がドキドキした。ようよう日頃の思いが叶って、会うことが出来るのは嬉しいけれども、どんな風に変っているだろうか。野たれ死にもせず、行くえ不明にもならないで、無事にこの家にいてくれたのは有難いが、虐待されて、痩せ衰えていなければいいが、………まさか一と月半の間に忘れる筈はないだろうけれど、なつかしそうに傍へ寄って来てくれるか知らん? それとも例の、羞渋んで逃げて行くか知らん?………蘆屋の時代に、二三日家を空けたあとで帰って来ると、もう何処へも行かせまいとして、縋り着いたり舐め廻したりしたものであったが、もしもあんな風にされたら、それを振り切るのに又もう一度辛い思いをしなければならない。………
「此処だっせ。―――」
晴れ晴れとした午後の外光を遮って、窓のカーテンが締まっているのは、大方用心深い品子が出て行く時にそうしたのであろうか。―――そのために室内がもやもやと翳って、薄暗くなっている中に、信楽焼のナマコの火鉢が置いてあって、なつかしいリリーはその傍に、座布団を重ねて敷いて、前脚を腹の下へ折り込ん