Japanische Klassiker mit Furigana
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ねことしょうぞうとふたりのおんな
猫と庄造と二人のおんな
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 猫と庄造と二人のおんな (ねことしょうぞうとふたりのおんな) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 68.020 Zeichen · 131 Bildschirme
これは母親への気がねのためであることは云う迄もないが、庄造自身も、リリーが早く老衰するのは、一つは多産のせいかも知れぬ、だから姙娠を止めることが出来ないなら、乳を飲ませることだけでも控えさせた方がよいと、そう云う頭で取り計らいもしたのであった。実際彼女は、お産の度毎に眼に見えて老けて行った。庄造は、彼女がカンガルーのように腹を膨らして、切なげな眼つきをしているのを見ると、
「阿呆やなあ、そないに何遍も腹ぼてになったら、お婆さんになるばかりやないか。」
と、いつも不憫そうな口調で云った。雄なら去勢して上げるが、雌では手術しにくいと云われて、
「そんなら、エッキス光線かけとくなはれしまへんか。」
と、そう云って獣医に笑われたこともあった。だが庄造にしてみれば、それやこれやも彼女のためを思ってのことで、無慈悲な扱いをした積りではなかったのだが、何と云っても、身の周りから血族を奪ってしまったことは、彼女をへんにうら淋しい、影の薄いものにしたことは否まれなかった。
そう云う風に数えて行くと、彼は随分リリーに「苦労」をかけたと云う気がするのである。彼の方が彼女のお蔭で慰められているわりに、リリーの方は一向楽をしていないように思えるのである。