Japanische Klassiker mit Furigana
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さるとびさすけ
猿飛佐助
織田 作之助
Lesen Sie 猿飛佐助 (さるとびさすけ) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.413 Zeichen · 60 Bildschirme
「法螺だ、法螺だよ。ありゃ皆おれの法螺だ。返せ、返せ! おい、猿飛待たんか。おい」
三好はあわてて法螺を白状したが、佐助の姿ははやどこかへ消えてしまっていた。
楓は泣けもせず、三好に愚痴るよりほかに成すすべもなかった。
「三好様が法螺を吹かれたゆえ、佐助様は逃げておしまいになられました」
三好はかえす言葉もなく、平謝りに謝りながら、楓と連れ立って佐助もとめての旅を続けねばならぬ羽目になったとは、まるで嘘から出た真じゃと、身から出た錆をやがて嘆いた。
女連れでは武者修行もかなわぬのみか、人目には破戒僧のように見える――のはまず我慢するとして、女は第一愚図でのろまで、いやに頑なで、法螺も吹かねば本当のことも言わぬ、全身これ秘密だらけ、といって深い謎も無さそうな証拠には、思慮分別が呆れるくらい浅墓で、愚痴が多く、恐ろしくけちであると判り、三好はいやになってしまった。
もともと三好は女はけがらわしいものと本能的に信じて、ことに女の匂いが好かず、入道姿になったのも妻帯をすすめられぬ用意だったというくらい故、楓がいつ何時どこで佐助にめぐり会っても見苦しくないようにと、朝夕化粧に念を入れて、脂粉の匂いを漂わしているのがいやでたまらぬ、おまけに三好は鼾のほかに歯軋りがはげしくて、かねがね他人と寝室を共にするのを避けている