Japanische Klassiker mit Furigana
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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
Lesen Sie 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 374.755 Zeichen · 745 Bildschirme
では明朝。いろいろ。
六月七日夜 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕
六月七日 第四十八信
ああア。先ずこういう工合なのです。久しぶりに髪を洗って日光のさしこむお湯に入って。大分かわいて来たので、「二階へ行こうか」とおっしゃるあなたのうしろにくっついてあがって来る心持で、ここへ来て、さて、とくつろいで向いあい。髪はたいへんすべすべです。あなたのはいかが? 苅ってほどないように見えましたけれど。
ほんのすこうしずつ、少しずつ、いくらか疲れかたが減るように感じられるけれども、そういう私の眼力は、本当の状態にふれているでしょうか。どうもたよりないとこの頃は思って居ります、爪に白い半月形が出ていて、ああと思ってうれしがって見たりしたの、あれは本当に爪について居りましたか? 私が見えたように思い、只がつがつと見ただけだったのかしら。あれから、あの急なひどい疲れの御様子でしたから、白い半月形なんて、なかったものかと思う気さえしました。もしなかったものを見たとしたら、心持わるくなさらないで下さい。あのコロンブスだって、海に漂い、陸を陸をと思っていたときは、雲を陸かと思ったことだってあったのです。