Japanische Klassiker mit Furigana
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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
Lesen Sie 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 65.952 Zeichen · 130 Bildschirme
十月五日
絵画きが眼がみえないでは私と比べものにはなりませんね。光線よけの暗緑色のレンズが出来ました。それをこの眼鏡の上に取りつけるのです。バネが工合よく伸びて小さな爪がふちにかかります。曇天世界になります。あまり愉快でないので今も幾分チカツきながらつけていません。(叱られるかしらん?)この絵の左手が有名な大噴水と美しい森です。右手は石段の下がオレンジ園です。
十月五日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(代筆 封書)〕
十月五日、夜。
これをペンさんが居る内に書いてもらおうと思って、やっこらやっこら二階へ来たらば、きれいにした四角い台の上に思いもかけず菊の花が朝鮮壺に活かっていて、「まあ、きれいだ」と嬉しい声をあげました。寿江子がそちらの帰りに買ってきてくれていたのでした。この菊の花の下には、小さい徳利形の水差し(硯に水を入れるもの。水滴だわね)と一匹のひどく間抜けな顔をした水色の縞の熊が辷りそうに足をひろげています。このシャツの余り布で作られたような縞の熊は鼠が太ったような丸い耳ととんきょうな顔をしていて、私は縞の布で作った動物は好きでないからと寿江子さんが安心して袋から出したところを間抜面の故にすっかりひいきにして御愛物にしてしまいました。