Japanische Klassiker mit Furigana
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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
Lesen Sie 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.557 Zeichen · 426 Bildschirme
作家となれば金の使いかたもいくらか普通とは違った道がありそうに思えるけれども、いざ持ってみると誰でも買うようなものを買って、しまいには家や地べたでも買っておさまるのは奇妙なものね。どうせそうなるなら、始めから金を目当てに何かやった方が良さそうにさえ思えます。そうゆかない所が人間の面白さ、くだらなさ、気の毒さなのかもしれないけれど。人間の新陳代謝の速力は意外にも早いのね。役に立つのは、十年前後と云うような人々の生涯もあるのですね。そんな風に、色々なものから消耗されるのですね。消耗なしに樹木でさえも育てないと云うのは、自然のきびしい姿です。
今日これに追かけて、一寸した送りものを差上げます。
どの部屋も同じような寒さだから、かえって今年は風邪をひく者が少なくて笑って居ります。
二月八日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(封書)〕
月明のうた。
月がのぼった。
金星を美しくしたがえて
梍の梢を高く
屋根屋根を低く照しつつ。
どの家もおとなしく雨戸をしめ
ひっそり
甍に月光をうけている。
なかに ただ一つ
我が窓ばかりは
つたえたい何の思いがあるからか