Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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りそうのおんな

理想の女

豊島 与志雄

Lesen Sie 理想の女 (りそうのおんな) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 38.162 Zeichen · 77 Bildschirme

Aozora Bunko

私は急いで朝の身仕舞をする。然しそれはごく簡単だ。歯を磨き、顔を洗い、髭を剃り、クリームを顔と頸と手先との皮膚にぬり、髪に櫛を入れる。それだけだ。然し秀子の身仕舞は中々済まない。第一に髪を結わなければならない。(感心に彼女は自分で髪を束ねて、決して人手を借りなかった。)次には長い長い御化粧が初まる。歯医者へ通うので殊に念が入るのだ。細いしなやかな指先を、顔や頸筋へ蛇のようにのたくらせながら、何時までも鏡台の前から立とうとしない。そのうちにみさ子が泣き出す。はるは座敷の掃除やなんかでまだ手がふさがっている。私は危っかしい手付でみさ子を抱いて、家の中をよいよい歩かなければならない。漸く秀子の身仕舞がすむ。彼女は鏡台の前に肌ぬぎになったまま、啜り泣いてる子供に乳房を含ませる。その間私はぼんやりして、縁側から狭い庭でも眺めるか、または寝床の中でざっと眼を通した新聞を、も一度読み直すかするより外はない。それから漸く食事になる。食事が済むと十一時に間もない。秀子は急いで歯医者へ出かける。午後は患者が込むので午前に出かけるのだ。然し随分帰りが後れることもある。