Japanische Klassiker mit Furigana
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ことのそらね
琴のそら音
Lesen Sie 琴のそら音 (ことのそらね) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.985 Zeichen · 42 Bildschirme
――余計な事じゃないか、何も坊主の癖にそんな知った風な妄言を吐かんでもの事だあね」
「しかしそれが商売だからしようがない」
「商売なら勘弁してやるから、金だけ貰って当り障りのない事を喋舌るがいいや」
「そう怒っても僕の咎じゃないんだから埓はあかんよ」
「その上若い女に祟ると御負けを附加したんだ。さあ婆さん驚くまい事か、僕のうちに若い女があるとすれば近い内貰うはずの宇野の娘に相違ないと自分で見解を下して独りで心配しているのさ」
「だって、まだ君の所へは来んのだろう」
「来んうちから心配をするから取越苦労さ」
「何だか洒落か真面目か分らなくなって来たぜ」
「まるで御話にも何もなりゃしない。ところで近頃僕の家の近辺で野良犬が遠吠をやり出したんだ。……」
「犬の遠吠と婆さんとは何か関係があるのかい。僕には聯想さえ浮ばんが」と津田君はいかに得意の心理学でもこれは説明が出来悪いとちょっと眉を寄せる。余はわざと落ちつき払って御茶を一杯と云う。相馬焼の茶碗は安くて俗な者である。もとは貧乏士族が内職に焼いたとさえ伝聞している。津田君が三十匁の出殻を浪々この安茶碗についでくれた時余は何となく厭な心持がして飲む気がしなくなった。