Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme
噂に立てられた家では大人は何でもないとしても、娘で而かも気の弱い女などの中には、いつか自分でこの噂から自己催眠にかゝつて、身体を蛇体のように蜿蜒らせ、「小沼へ帰り度い」と叫び出して、村人に担がれ湖水を見せに山へ登ったという事件なぞも大正頃までもあった。
「私の家にもその噂を立てられたことがありました。もっとも私の家の方にもそういう噂を立てられても仕方がない村に対して無理なことがあったにはありましたのですが――」
この村の旧家であり村長を勤めていた父親は、新智識をもって任じた。その頃都会の智識階級中に行われたスマイルズの自助論の翻訳本で中村敬宇の西国立志編などを田舎で読み、本の中の有名な句の「天は自ら助くるものを助く」という言葉など口癖に言っていた。農作の改善、副業の奨励、作業の協同等を当時の村民に早く勧めていた。村の男女の風儀の矯正には最も熱心であった。多年土地の若いものゝ間に染み込んでいる弊風の賭博と媾曳を、父親は眼の仇にして清掃を図った。父親は一方非常な飲酒家であった。洋酒の種類を横浜から取寄せ、大座敷に控え、朝からちびり/\とコップから飲みながら、用事で来る村の人に会った。