Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme
「どうして」
「だって、言えば君は嫉くか、怒るかするんだもの」
「ばか仰っしゃい。今更こんな雪の山の中へ来て」
「じゃ言ってみようか」
「あゝ」
「この前、会ったときの先生は、気高くはなっていたが、まあいわば、おふくろさんかおばさんの感じだった。ところが茲で会ってみると今度は、おかしな言葉だが妙に艶っぽくなってる。大きな声じゃ言えないがね――」
事実、葛岡は声を潜めて言いました。わたくしは膝を打ち度いほど力を籠め、
「まったく、その通りだわ」
と葛岡の言葉に同意せずにはいられませんでした。
変ってしまった。いま見る先生みたいな人は、山の自然と一緒に、季節の早春にも自由に誘惑されるのでしょうか。
宿の膳のクキと鮒の煮浸し、馬鈴薯の味噌汁に添って先生がキャンプ料理風な鑵詰ものを使って慥えた塩肉のハンバーグステーキと、フルーツサラダは夜食の膳を相当に賑わしました。
私たちはそれを食べたあと、先生に導かれて夜の湖辺へ出てみます。
月は皎々と照り輝いていました。それでいて星も星夜のように白金の棘を長く煌き放っている山の夜空の不思議さ。昼間に見た駒、黒、薬師などという山々はまったく装いを改め、山が夢みた山の形をいまこゝに幻出しているかと思われます。