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Japanische Klassiker mit Furigana

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しょうじょうるてん

生々流転

岡本 かの子

Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme

Aozora Bunko

表面は氷で青白いけれども、何となく底の下から緑いろの水の潤みを感じさせている湖水は、うごめく春の兆しを月光に見破られまいと強いて面衣を緊くしているようにも取れます。水面に落す自分の影に漂わされ小鳥ヶ島は宙に浮くかとも眺められます。湖水の向う縁の在所を示すように間を置いてクラブハウス、鱒孵化場などの灯が点々と蛍のようです。そしてこちらを観ると、こゝは大洞の人家のため、割合に灯の数は多くあります。

「来てみてごらんなさい、こゝへ」

先生はわたくしを一しお湖辺へ近く誘いました。そこの石に屈ませ、月の光に透して湖面を覗かします。

「ね、もう、そこに大きく氷の割目の痕が出来ているでしょう。この辺ではこれをえみと言っていますが、近いうちに湖の氷は割れ出しますね。暖い南の風が吹いて来たら――」

「それ、氷のところ/″\にうす蒼黒く、まだらがあるでしょう。氷が薄くなったので底の湧き水の在所が透けて見えるのですよ――」

先生は私たちに一とおり山の夜景を見せて帰りしなに、わたくしに向ってこんなことを言いました。

「二三日、そう、三日間は、是非こゝに泊っていらっしゃいね。するうち、きっと南の風が吹いて湖の氷が解け始めますから――」