Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme
黄昏の空に太くどっしり架っている両国橋の橋影、通行整理の提灯に急き立てられ、ざら/\履物の無数の音を引ずって群集の黒い影が鼠の群れの川を渡るように、いつ尽きるとも知らぬさまに欄干から盛り上って見えます。橋のたもとに国技館の満館のネオン。私達の船は浜町河岸へ出て、福井楼の下の一区劃に船の住居を割当てられました。市街と同じように高低している船には船灯の垣や、高張提灯の藪を隙してうち重なり、そこに織り出される中流の花火打揚の船がやっと覗かれます。
船の胴間でけんどん箱から食品を取り出して膳に配置したり、箱火鉢の銅壺に徳利を浸したりしていたおきみは、あとを船頭に任して表の間へ膳を運んで来ました。あらためて私と葛岡に挨拶して、それから酌の徳利を取上げました。
いけぬ口なのを葛岡は努めて池上の相手をします。わたくしにもとき/″\池上は盃を廻して来ます。座を取做すおきみの様子はすっかり落付きを持ってもはや小間使の気は無くなっています。わたくしが感心してみていると池上は磊落に、
「蝶ちゃん、僕もこの娘をとう/\世話をしなきゃならなくなったよ」
と言って、はっはっと笑いました。