Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme
石垣の乾きにもう初冬の色を見せている堀川は黒い水の上にうそ寒い夕靄を立てゝいます。河岸の賑かな商い店の中に混って釣船宿が二軒、鄙びて居ります。いま沖から帰ったばかりと見え、河岸についた四五艘の釣船から船頭たちが道具や獲ものを柳の根元へ陸上げしております。
釣船屋の店には釣りの客が火鉢のまわりに集まって自慢話をしているらしく高笑いが聞えます。その店先には、きょう獲れた魚を盤台に盛り、往来へ向けて晴がましく列べてあるうえへ子供が蝟っております。獲ものゝ魚は鯔であることは、この魚特有の精力的な腥いにおいが近づくまえに鼻をうつので知られました。
わたしは袂で鼻を押えながら鯔を覗き込みました。わたくしはこの魚の腥ささは嫌いでしたが、この魚の姿は好きでした。何の屈曲もなく鉛色と銀色のふた色で太古の石棒のような単純な形をしているこの魚は、向う意気ばかり強くて、愚直な性質の生物に思えました。威勢のよい癖に斃るのも速いという話もわたくしに憐れを感じさせました。
父はわたくしの家へ来て、少し長逗留になると、母は窮屈がって、釣にでも行ってらしてはと勧めました。父も根が好きと見えて、この船宿から出かけました。