Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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うまれいずるなやみ

生まれいずる悩み

有島 武郎

Lesen Sie 生まれいずる悩み (うまれいずるなやみ) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 50.587 Zeichen · 100 Bildschirme

Aozora Bunko

すべてこうした懸命な努力は、降りしきる雪と、荒れ狂う水と、海面をこすって飛ぶ雲とで表わされる自然の憤怒の中で行なわれたのだ。怒った自然の前には、人間は塵ひとひらにも及ばない。人間などという存在は全く無視されている。それにも係わらず君たちは頑固に自分たちの存在を主張した。雪も風も波も君たちを考えにいれてはいないのに、君たちはしいてもそれらに君たちを考えさせようとした。

舷を乗り越して奔馬のような波頭がつぎつぎにすり抜けて行く。それに腰まで浸しながら、君たちは船の中に取り残された得物をなんでもかまわず取り上げて、それを働かしながら、死からのがるべき一路を切り開こうとした。ある者は艪を拾いあてた。あるものは船板を、あるものは水柄杓を、あるものは長いたわしの柄を、何ものにも換えがたい武器のようにしっかり握っていた。そして舷から身を乗り出して、子供がするように、水を漕いだり、浸水をかき出したりした。

吹き落ちる気配も見えないあらしは、果てもなく海上を吹きまくる。目に見える限りはただ波頭ばかりだ。犬のような敏捷さで方角を嗅ぎ慣れている漁夫たちも、今は東西の定めようがない。