Japanische Klassiker mit Furigana
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たざきそううんとそのこ
田崎草雲とその子
吉川 英治
Lesen Sie 田崎草雲とその子 (たざきそううんとそのこ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.568 Zeichen · 40 Bildschirme
『だまれっ、偽せ志士』
と、どなった者がある。
同時に、それを口火にした罵倒が、三、四名の口から続けさまに、草雲へぶつけられた。
『なんだ! 貴様に他人の思想を指導する資格があるか』
『烏滸がましい。引退がれ』
『吾々に、勤王の大義を説く前に、なぜ、己れの子に説かん! 汝の一子、田崎格太郎は、われ等の同志だぞ、佐幕派だぞ』
草雲は、ぎょッとした。
然し、すぐその顔いろは、微笑をもって、広間の昂奮をしずかに眺め廻していた。
『――格太郎。成程。したが、あれは疾くに勘当いたした者、田崎恒太郎の子でござらぬ!』
きっぱりと、言った。そして、すぐその言葉にのせて、
『子は親を、親は子を、骨肉互いに反き合って、兵火の間にまみゆる例は、いつの乱世にもある慣い、いわゆる大義親を滅すでござる。今、不肖この田崎にしても、一子を顧みて、王業の大事を思わず、また藩の大事を思わずして、武門の本道が立ち得ましょうや。いやいや、この一座に集る諸氏と、不肖の小伜一名とを比較しても、その何れが重いかは、理の明白』
と、一息に、そこ迄いって、
『――論の余地がござろうか、如何に!』
があんと、一言の咆哮が、天井にひびいて、諸士の頭を圧した。