Japanische Klassiker mit Furigana
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たばたのきしゃそのほか
田端の汽車そのほか
宮本 百合子
Lesen Sie 田端の汽車そのほか (たばたのきしゃそのほか) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.507 Zeichen · 17 Bildschirme
従弟のような経験のある人は、地図をひろげて大体重要工業地帯と諸官省の中心地帯とをさした。地図の上で指されるそれらの地区は本郷区のぐるりのどこかに隣接してはいてもうちのある林町界隈までは距っていた。心配は直接本郷あたりが襲撃されることではなくて、思いがけず大規模の被害が生じたときその真中に安全な本郷、またはこの辺が、逃げ場のない袋の中に入ったことになるかもしれないことだ、という風に話された。
誰の話でも、本郷あたりは何かあっても最後だろうと考えられていた。上からみれば木ばかりみたいなこんなところ! と、憫笑する人もあった。弟嫁は、まるい黒い瞳を見はって、それらの意見をきき、やっぱりそうなのねえ、と日頃良人である弟のことを信用しなおすのであった。
上落合に半年ばかり住んだことがあった。国民学校の真上の家で、家を見に行ったときは、学校の庭にコンクリートをうっているときで、子供らは一人も外でさわがず、本当に静かだった。そういう事情があると思いもそめず、家賃が手頃なのや一人暮しに快適な間どりの工合やらにひかれて契約した。そして引越したら、二三日で、溌剌騒然たる小学校の賑わいが、別して朗々たるラウド・スピーカアの響きとともに、朝から夕刻まで、崖上に巣をかけた私のしず心を失わした。