Japanische Klassiker mit Furigana
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たばたのきしゃそのほか
田端の汽車そのほか
宮本 百合子
Lesen Sie 田端の汽車そのほか (たばたのきしゃそのほか) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.507 Zeichen · 17 Bildschirme
その赭土の崖はいつもぬれている、羊歯、苔、りんどうの花などが咲いた。笹もあった。冬は、その赭土のところに霜柱が立ち、その辺の道は、いてついたままのところやどろんこのところや、ひどい難儀をした。汽車を見に、弁当もちで出かける八つばかりの私と六つ、四つの弟たちは、よくこの難所で小さい靴を霜どけのぬかるみに吸いとられて泣いた。靴がぬげたア、と泣くのであった。すると、ついている大人がかかえ上げて片手に靴をもって、ひどいところを大股にこして乾いたところへおろした。私は姉だから厳粛に自力で困難を征服する。
そうして切どおしをのぼり切ると、道灌山つづきの高台の突端に出た。子供の時分の田端の駅は、思えば面白い地形に在ったものだ。
汽車は、平らに低いところを走っている。だから駅も低いところに在らねばならない。そういうわけで、田端の駅は、その高台からまるで燈台の螺旋階段のように急な三折ほどの坂道で、ダダダダと駈けおりたところに在った。その急な小径の崖も赭土で、ここは笹ばかりが茂っていた。穴蔵の中に下りてゆくように夏その坂道は涼しかった。そして、冬は、その坂をのぼり切って明るい高台道の日向に出たとき、急にはっきり陽のぬくみを顔に感じた。