Japanische Klassiker mit Furigana
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いなかもの
田舎者
豊島 与志雄
Lesen Sie 田舎者 (いなかもの) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.181 Zeichen · 26 Bildschirme
そして彼等が出て行くまで、出ていってから後まで、岸本はじっとしていた。するとサチ子がやってきて、面白そうに笑い出したのだった。思いだしたのだ。あんな乱暴をしちゃいけないわ、と云い出した。
「あんな奴は嫌いだ。」と岸本はふいに云った。
「だって、土地の人だから、仕方ないわ。」
十七の娘にしては、ませた口を利いて、彼女は囁くのだった。マダムのことをいろいろ聞く人があるけれど、知らないといって笑ってると、チップを余計くれるんだと。岸本は嫌な気がして立上ると、マダムは向うから、いつもの調子で、晴れやかに笑ってくれるのだった。
岸本は外に出て、息苦しかったのを吐き出すように、大きく吐息をした。
そのことがあってから、岸本は妙に人々から目をつけられてるのを感じたのだった。上野広小路の裏にあるそのバーは、場所のせいか、客には土地の商家の人々が最も多く、会社員は少く、学生は更に少なかったので、学生服のことが多い岸本は、よく目立つ筈だったが、それが逆に無視された形になって、誰の注目も惹かないらしかった。彼の無口な田舎者らしい引込んだ態度も、その一因だったかも知れない。