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Japanische Klassiker mit Furigana

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いなかもの

田舎者

豊島 与志雄

Lesen Sie 田舎者 (いなかもの) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.181 Zeichen · 26 Bildschirme

Aozora Bunko

ところが、あのことがあって以来、顔馴染の客は大抵、彼を避けると共に、彼の様子にそれとなく目をつけてるらしいのが、次第にはっきりとしてきた。そうなると彼も意地で、なお屡々通うようになった。別に何というあてもなく、隅の卓子につくねんと坐って、ウイスキーやコニャックの杯をなめるのだった。サチ子が時々相手になりに来たが、別に話もなく、冗談口も少いので、すぐに行ってしまった。マダムが時折、無関心らしい視線を送ってくれた。

土地の商家の若い人たちも、屡々やって来たが、彼に対してはもう素知らぬふりで、会釈さえしなかった。そして彼の存在を全く無視したような振舞で、他に客がないと、マダムをつかまえて下卑な冗談口を云いあったり、植木鉢をわきに片附けて、ジャズで踊ったりするのだった。それが実は、彼の存在を意識しての上でだということが、眼付や素振で分るので、何かしらそこに陰険な狡猾なものが加わってくるのだった。そればかりでなく、若旦那風の角帯の男は、土地の安っぽい芸妓を二三人ひっぱってきて、のんだりふざけたりした揚句、君たちが奢る約束じゃなかったかと云って金を出そうとしないので、芸妓たちはきゃっきゃっと騒いでから、ああこれでいいわけねと、その一人が紙入から名刺を一つ取出した。