Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
うみがめ
異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二
岡本 綺堂
Lesen Sie 異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二 (うみがめ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 144.507 Zeichen · 291 Bildschirme
今と違って、そのころの青山は狐や狸の巣かと思われるような草深いところであったが、それでも善光寺門前には町家がある。西岡は今やその町家つづきの往来へ差しかかると、かれは俄かにぎょっとして立停まった。自分よりも五、六間さきに、妹と同じ娘があるいていたのであった。見れば見るほど、そのうしろ姿はお福とちっとも違わないのである。おなじ不思議をかさねて見せられて、西岡は単に他人の空似とばかりでは済まされなくなった。
彼はどうしてもその正体を見定めなければならないような気になって、又もや足を早めてそのあとを追って行った。このあいだもきょうも、夕方とはいっても日はまだ明るい。しかも町家つづきの往来のまん中で、狐や狸が化かすとも思われない。どんな女か、その顔をはっきりと見届けて、それが人違いであることを確かめなければ何分にも気が済まないので、西岡は駈けるように急いでゆくと、娘はきょうも日傘をさしている。それが邪魔になってその横顔を覗くことが出来ないので、かれは苛々しながら付けてゆくと、娘はやがて権田原につづく広い草原に出た。ここは草深いが中にも草深いところで、夏から秋にかけては人も隠れるほどの雑草が高く生い茂っていて、そのあいだに唯ひと筋の細い路が開けているばかりである。