Japanische Klassiker mit Furigana
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うみがめ
異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二
岡本 綺堂
Lesen Sie 異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二 (うみがめ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 144.507 Zeichen · 291 Bildschirme
そのときあたかも下の方から奥さんの呼ぶ声がきこえたので、伊佐子さんも黙って出て行きました。
ひとりで飯を食いながら、わたしはまた考えました。余の事とは違って、仮りにも毒殺などとは容易ならぬことです。伊佐子さんばかりでなく、奥さんまでが本当にそう信じているならば、山岸のために進んでその寃をすすぐのが自分の義務であると思いました。それにしても、本人の山岸はそんな騒ぎを知っているのかどうか、まずそれを訊きただしておく必要があるとも考えたので、飯を食ってしまうとすぐに二階を降りて山岸の部屋へたずねていくと、山岸はわたしよりもさきに夕飯をすませて、どこへか散歩に出て行ったということでした。
わたしも頭がむしゃくしゃして、再び二階の部屋へもどる気にもなれなかったので、何がなしに表へふらりと出てゆくと、そのうしろ姿をみて、奥さんがあとから追って来ました。
「須田さん、須田さん。」
呼びとめられて、わたしは立ちどまりました。家から一五、六間も離れたところで、路のそばには赤いポストが寒そうに立っています。そこにたたずんで待っていると、奥さんは小走りに走って来て、あとを見返りながら小声で訊きました。