Japanische Klassiker mit Furigana
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うみがめ
異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二
岡本 綺堂
Lesen Sie 異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二 (うみがめ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 144.507 Zeichen · 291 Bildschirme
「あの……。伊佐子が……。あなたに何か言いはしませんでしたか。」
なんと答えようかと、私はすこしく考えていると、奥さんの方から切り出しました。
「伊佐子が何か鰻のことを言いはしませんか。」
「言いました。」と、わたしは思い切って答えました。「ゆうべの鰻を食って、黒猫が死んだとかいうことを……。」
「猫の死んだのは本当ですけれど……。伊佐子はそれを妙に邪推しているので、わたしも困っているのです。」
「まったく伊佐子さんは邪推しているのです。積もってみても知れたことで、山岸さんがそんな馬鹿なことをするもんですか。」
わたしの声が可なりに荒かったので、奥さんもやや躊躇しているようでしたが、再びうしろを見返りながらささやきました。
「あなたも御存じだかどうだか知りませんけれど、このごろ山岸さんのところへお国の方から電報や郵便がたびたび来るので、娘はひどくそれを気にしているのです。山岸さんは郷里へ帰るようになったのじゃあないかと言って……。」
「山岸さんがもし帰るようならば、どうすると言うんです。伊佐子さんはあの人と何か約束したことでもあるんですか。」と、わたしは無遠慮に訊き返した。