Japanische Klassiker mit Furigana
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うみがめ
異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二
岡本 綺堂
Lesen Sie 異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二 (うみがめ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 144.507 Zeichen · 291 Bildschirme
陽気も急にあたたかくなりました。小田原から電車で国府津に着きまして、そこの茶店で小田原土産の梅干を買いました。それは母から頼まれていたのでございました。
十二時何分かの東京行列車を待合せるために、わたくしは狭い二等待合室にはいって、テーブルの上に置いてある地方新聞の綴込みなどを見ているうちに、空はいよいよ明るくなりまして、春の日が一面にさし込んで来ました。日曜でも祭日でもないのに、きょうは発車を待合せている人が大勢ありまして、狭い待合室はいっぱいになってしまいました。わたくしはなんだか蒸し暖かいような、頭がすこし重いような心持になりましたので、雨の晴れたのを幸いに構外のあき地に出て、だんだんに青い姿をあらわして行く箱根の山々を眺めていました。
そのうちに、もう改札口があいたとみえまして、二等三等の人たちがどやどやと押合って出て行くようですから、わたくしも引っ返して改札口の方へ行きますと、大勢の人たちが繋がって押出されて行きます。わたくしもその人たちの中にまじって改札口へ近づいた時でございます。どこからともなしにこんな声が聞こえました。
「継子さんは死にました。