Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ちじんのあい
痴人の愛
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 痴人の愛 (ちじんのあい) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 179.399 Zeichen · 353 Bildschirme
「おい、河合君」
と、Sはあたりに遠慮しながら、私の耳に口をつけるようにしました。
「その、君が連れて歩いている素晴らしい美人と云うのは何者かね? 一遍僕等にも紹介し給え」
「いや紹介するような女じゃないよ」
「だって、帝劇の女優だって云う話じゃないか。………え、そうじゃないのか、活動の女優だと云う噂もあるし、混血児だと云う説もあるんだが、その女の巣を云い給え。云わなけりゃ帰さんよ」
私が明かに不愉快な顔をして、口を吃らしているのも気が付かず、Sは夢中で膝を乗り出して、ムキになって尋ねるのでした。
「え、君、その女はダンスでなけりゃあ呼べないのか?」
私はもう少しで「馬鹿ッ」と云ったかも知れませんでした。まだ会社では恐らく誰も気がつくまいと思っていたのに、豈図らんや嗅ぎつけていたばかりでなく、道楽者の名を博しているSの口吻から察すると、奴等は私たちを夫婦であるとは信じないで、ナオミを何処へでも呼べる種類の女のように考えているのです。
「馬鹿ッ、人の細君を掴まえて『呼べるか』とは何だ! 失敬な事を云い給うな」
この堪え難い侮辱に対して、私は当然、血相を変えてこう怒鳴りつけるところでした。