Japanische Klassiker mit Furigana
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ちじんのあい
痴人の愛
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 痴人の愛 (ちじんのあい) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 179.399 Zeichen · 353 Bildschirme
とナオミが云う。
「そう云えばパパさんは、この頃あたしをお湯に入れてくれないのね、あの時分にはあたしの体を始終洗ってくれたじゃないの」
「ああそうそう、そんな事もあったっけね」
「あったっけじゃないわ、もう洗ってくれないの? こんなにあたしが大きくなっちゃ、洗うのは厭?」
「厭なことがあるもんか、今でも洗ってやりたいんだけれど、実は遠慮していたんだよ」
「そう? じゃ、洗って頂戴よ、あたし又ベビーさんになるわ」
こんな会話があってから、ちょうど幸い行水の季節になって来たので、私は再び、物置きの隅に捨ててあった西洋風呂をアトリエに運び、彼女の体を洗ってやるようになりました。「大きなベビさん」―――と、嘗てはそう云ったものですけれど、あれから四年の月日が過ぎた今のナオミは、そのたっぷりした身長を湯船の中へ横たえて見ると、もはや立派に成人し切って完全な「大人」になっていました。ほどけば夕立雲のように、一杯にひろがる豊満な髪、ところどころの関節に、えくぼの出来ているまろやかな肉づき。そしてその肩は更に一層の厚みを増し、胸と臀とはいやが上にも弾力を帯びて、堆く波うち、優雅な脚はいよいよ長くなったように思われました。