Japanische Klassiker mit Furigana
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ちじんのあい
痴人の愛
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 痴人の愛 (ちじんのあい) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 179.399 Zeichen · 353 Bildschirme
「それから?」
「それから夕方、大勢さんで戻っていらっしゃいました」
「晩の御膳は、みんなで内でたべたんですかね?」
「はあ、何ですか大そうお賑やかに、………」
そう云ってかみさんは、私の眼つきを判じながら、苦笑いするのでした。
「晩飯を食ってから又出かけたのは、何時頃でしたろうか?」
「さあ、あれは、八時時分でございましたでしょうか、………」
「じゃ、もう二時間にもなるんだ」
と、私は覚えず口へ出して云いました。
「するとホテルにでも居るのかしら? 何かおかみさんは、お聞きになっちゃいませんかしら?」
「よくは存じませんけれど、御別荘の方じゃございますまいか、………」
成る程、そう云われれば関の叔父さんの別荘と云うのが、扇ヶ谷にあったことを私は思い出しました。
「ああ別荘へ行ったんですか。それじゃこれから僕は迎いに行って来ますが、どの辺にあるか、おかみさんは御存知ありますまいか?」
「あの、直きそこの、長谷の海岸でございますが、………」
「へえ、長谷ですか? 僕はたしか扇ヶ谷だと聞いてたんですが、………あの、何ですよ、僕の云うのは、今夜も此処へ来たかどうだか知らないけれど、ナオミのお友達の、関と云う男の叔父さんの別荘なんだが、………」