Japanische Klassiker mit Furigana
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ちじんのあい
痴人の愛
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 痴人の愛 (ちじんのあい) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 179.399 Zeichen · 353 Bildschirme
とそう云ったのも、成る程思い中るのでした。そうだ、やっぱりそうだったんだ、熊谷の所へ行く積りだから、あんなに荷物を持って行ったんだ。或は前から、こう云う時にはこうしようと、二人で打ち合わせがしてあったかも知れん。そうだとするとこれは中々むずかしいかも分らんぞ。第一己は熊谷の家が何処にあるのかも知らない。それは調べれば分るとしても、まさか彼奴が両親の家へ彼女を匿まっては置けなかろう。彼奴は不良少年だけれど、親は相当な者らしいから、自分の息子にそんな不都合を働かしては置かないだろう。彼奴も家を飛び出して、二人で何処かに隠れていやしないか? 親の金でも引ッ浚って、遊び歩いていやしないか? が、それならそれと、ハッキリ分ってくれればいい。そうすれば己は熊谷の親に談判して、厳しい干渉を加えて貰う。たとい彼奴が親の意見を聴かないにしたって、金が尽きれば二人で暮らせる訳がないから、結局彼奴は自分の家へ戻るだろうし、ナオミは此方へ帰って来る。トドの詰まりはそうなるだろうが、その間の己の苦労と云うものは?―――それが一と月で済むものやら、二た月、三月、或は半年もかかるものやら?―――いや、そうなったら大変だ。