Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ちじんのあい

痴人の愛

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 痴人の愛 (ちじんのあい) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 179.399 Zeichen · 353 Bildschirme

Aozora Bunko

そんな事をしているうちにだんだん帰りそびれてしまって、又ひょっとすると第二第三の男が出来ないもんでもない。すると此奴はぐずぐずしているところじゃないんだ。こうして離れていればいるだけ彼女との縁が薄くなるんだ。刻一刻と彼女は遠くへ去りつつあるんだ。己れやれ! 逃げようとしたって逃がすもんか! 己はどうしても引き戻してやるから! 苦しい時の神頼み、―――私はついぞ神信心をしたことなぞはなかったのですが、その時ふいと思い出して、観音様へお参りをしました。そして「ナオミの居所が一時も早く知れますように、明日にも帰ってくれますように」と、真心籠めて祈りました。それから何処をどう歩いたか、二三軒のバアへ寄って、ぐでんぐでんに酔っ払って、大森の家へ帰ったのは夜の十二時過ぎでした。が、酔ってはいてもナオミの事が始終頭の中にあって、寝ようとしても容易に寝つかれず、そのうちに酒が醒めてしまうと、又しても一つの事をくよくよと考える。どうしたら居所が突き止められるか、事実熊谷と逃げたかどうか、彼奴の家へ談判するにも其奴を確かめた上でなければ軽率過ぎるし、そうかと云って秘密探偵でも頼まなければ、ちょっと確かめる方法はなし、………と、散々思案に余った揚句、ひょっこり考えついたのは例の浜田のことでした。