Japanische Klassiker mit Furigana
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ちじんのあい
痴人の愛
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 痴人の愛 (ちじんのあい) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 179.399 Zeichen · 353 Bildschirme
自分はナオミを、精神と肉体と、両方面から美しくしようとした。そして精神の方面では失敗したけれど、肉体の方面では立派に成功したじゃないか。自分は彼女がこの方面でこれほど美しくなろうとは思い設けていなかったのだ。そうして見ればその成功は他の失敗を補って余りあるではないか」
―――私は無理にそう云う風に考えて、それで満足するように自分の気持を仕向けて行きました。
「譲治さんはこの頃英語の時間にも、あんまりあたしを馬鹿々々ッて云わないようになったわね」
と、ナオミは早くも私の心の変化を看て取ってそう云いました。学問の方には疎くっても、私の顔色を読むことにかけては彼女は実に敏かったのです。
「ああ、あんまり云うと却ってお前が意地を突ッ張るようになって、結果がよくないと思ったから、方針を変えることにしたのさ」
「ふん」
と、彼女は鼻先で笑って、
「そりゃあそうよ、あんなに無闇に馬鹿々々ッて云われりゃ、あたし決して云う事なんか聴きやしないわ。あたし、ほんとうはね、大概な問題はちゃんと考えられたんだけど、わざと譲治さんを困らしてやろうと思って、出来ないふりをしてやったの、それが譲治さんには分らなかった?」