Japanische Klassiker mit Furigana
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らい
癩
島木 健作
Lesen Sie 癩 (らい) von 島木 健作 (しまきけんさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 37.753 Zeichen · 74 Bildschirme
何か聞いてみなければ心がすまないような気持で、ガチャリと鍵の音のした戸口に急いで戻って見た時には、もうコトコトと靴音が長い廊下の向うに消えかけていた。
房内はきちんと整頓されていてきれいであった。入って右側には木製の寝台があり、便所はその一隅に別に設けてあり、流しは石でたたんで水道さえ引かれているのである。試みに栓をひねってみると水は音を立てて勢いよくほとばしり出た。窓は大きく取ってあって寝台の上に坐りながらなお外が見通されるくらいであった。太田が今日まで足かけ三年の間、いくつかその住いを変えて来た独房のうちこんなに綺麗で整いすぎる感じを与えた所はかつてどこにもなかった。それは彼を喜ばせるよりもむしろ狼狽させたのであった。俺は一体どこへ連れて来られたのであろう、ここは一体どこなのだ?
あたりは静かであった。他の監房には人間がいないのであろうか、物音一つしないのである。それにさっきの看守が立ち去ってからほぼ三十分にもなるであろうが、巡回の役人の靴音も聞えない。いつも来るべきものが来ないと言うことは、この場合、自由を感じさせるよりもむしろ不安を感じさせるのであった。