Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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らい

癩

島木 健作

Lesen Sie 癩 (らい) von 島木 健作 (しまきけんさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 37.753 Zeichen · 74 Bildschirme

Aozora Bunko

腰をかけていた寝台から立ち上って、太田は再び戸口に立ってみた。心細さがしんから骨身に浸みとおってじっとしてはいられない心持である。扉にもガラスがはめてあって、今暮れかかろうとする庭土を低く這って、冷たい靄が流れているのが見えるのである。

「………………」

ふと彼は人間のけはいを感じてぎょっとした。二つおいて隣りの監房は広い雑居房で、半分以上も前へせり出しているために、しかもその監房には大きく窓が取ってあるために、その内部の一部分がこっちからは見えるのであった。廊下の天井に高くともった弱い電気の光りに眼を定めてじっと見ると、窓によって大きな男がつっ立っているのだ。瞬きもせず眼を据えてこっちを見ているのだが、男の顔は恐ろしく平べったくゆがんで見えた。何とはなしに冷たい氷のようなものが太田の背筋を走った。その男の立っている姿を見ただけで、何か底意地のわるい漠然たる敵意が向うに感ぜられるのだが、太田は勇気を出して話しかけてみたのであった。

「今晩は」

それにはさらに答えようともせず、少し間をおいてから、男はぶっきら棒に言い出したのである。

「あんた、ハイかライかね?」