Japanische Klassiker mit Furigana
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しろいかべ
白い壁
本庄 陸男
Lesen Sie 白い壁 (しろいかべ) von 本庄 陸男 (ほんじょうむつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 25.697 Zeichen · 51 Bildschirme
しかし、三階のとっつきにある杉本の教室は盲めっぽうな騒音に湧きかえっていた。彼らは教師が現われてもいっこう平気であった。机の上では箒を構えた小さな剣士が、さあ来いと眼玉をむき、大河内伝次郎だぞ、さあさあさあ、と八方を睨みまわした。「やい手前、斬られたのにどうして死なねえんだ」と机の上の大河内は足をふみ鳴らしていきなり下にいる子供を殴りつけた。「痛えッ!」「痛かったら死ね、死んだ真似でもしろ」「何にいッ」と捕手が机の上に跳ねあがって大河内を追っかけはじめた。塗板の下に集まった一かたまりは、べい独楽一つのために殴り合いをはじめ、塗板拭きがけしとばされると同時に、濛々たる白墨の粉の煙幕を立てていた。
教室のうしろ側にもぞもぞしていた年かさの子供たちが、教師の前ではどうしなければならぬかをようやく思いだすのであった。彼らはまず習慣的に「叱っ、叱っ」と口を鳴らし、はては「ばか野郎ッ」とどなって警告した。「先生が来てんぞ、先生が……」その警告によって児童はやっと教師の存在をみとめ、それがそうなっているのだったらしかたがないという風にのろのろ自分の席に戻った。