Japanische Klassiker mit Furigana
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しらねのふもと
白峰の麓
大下 藤次郎
Lesen Sie 白峰の麓 (しらねのふもと) von 大下 藤次郎 (おおしたとうじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.238 Zeichen · 45 Bildschirme
無遠慮な一人はズカズカと傍へよって来て「オマイは誰だ」という、「この辺から白峰は見えるか」と問うと、「タケー見に来たのか、『メガネー』持ってるか、オマイの持っているのは何するンか」という「これは腰掛だ」と三脚を示したら、「コシイ掛けて、遠眼鏡でタケー岳見るのか」と肝心の山の見える見えないには答えもせでゾロゾロとあとについて来た。
十
二、三十戸の村を出ると、右に芦倉の峠がある。峠へ上って一里あまりもゆかなければ山は見えぬという。それよりもこの川上を左の渓へ入れば、白河内の山が見える。そのほうがよかろうと人に教えられて、早川に沿いて進む。四、五丁にして釣橋があるが、今は損じているので渡れない。河原へ下り危うき板橋を過ぎて対岸に移る。
農夫が山奥の焼畑へ通うための、一筋の道を暫くゆくと、西岸の山が急に折曲って、日を背にしたため、深い深い紫色に見える、その前を往手にあたって、数株の落葉松の若木が、真に燃え立つような、強い明るいオレンジ色をして矗々と立っている。ハッと思って魅せられたように無意識に、私の手は写生箱にかかった。
狭い道の一方は崖一方は山、三脚を据えるところがない。