Japanische Klassiker mit Furigana
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しらふじ
白藤
豊島 与志雄
Lesen Sie 白藤 (しらふじ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.822 Zeichen · 16 Bildschirme
焼け跡のあちこちに、湯屋の煙突だけがたくさんつっ立っているのを見ました。そのほか、いろいろなものを見ました。それからまた、この広い荒野のなかに、ぽつりぽつりと建てられてるバラック小屋を見、ぎっしり立ち並んでる古い日本家屋の聚落を見、高層な洋式建物が軒を連ねてるのを見ました。或る処には、人影もない寂寥を見、或る処には、群衆の雑沓を見ました。群衆のなかには、他国の兵士も見ましたし、また、長途の困難な旅行者のように荷物を背負ってる人々を見ました。そのほか、さまざまなものを見ました。
それらのものが雑然と積もり重なって、異邦にあるような思いをさえ起させました。その思いがますます、草光保治に眼を見張らせました。
然し、如何に眼を見張ったとて、やはり、日本が祖国であり、東京が郷里であることには、聊かの変りもありませんでした。ただ、祖国であるその日本が、郷里であるその東京が、ふしぎに変って感ぜられるのでした。戦争により、殊に空襲により、二ヶ年半の間に相貌が変った、というばかりでなく、草光保治の内部にもなにか変ったものがありました。記憶が薄らいで眼が冴えてくる、というような状態にありました。