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Japanische Klassiker mit Furigana

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しらゆきひめ

白雪姫

久生 十蘭

Lesen Sie 白雪姫 (しらゆきひめ) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.723 Zeichen · 21 Bildschirme

Aozora Bunko

クレヴァスの中をのぞくんじゃないぞ」

ハナは最初の一歩を、そっと雪の橋の上に置いた。自分の身体の重さを感覚で量ろうとするように、顔じゅうを目にして長いこと考えていたが、最初の一歩が成功すると、自信をつけてつぎの足を踏みだした。両手を胸の前にブラリとさげ、未練と臆病と、卑劣と、人間のあらゆる弱点をさらけだしたみじめな恰好で、そろそろと渡ってきた。

アーチの頂点を越えた。もう大丈夫らしくみえた。そのとき、ハナが妙な目づかいでクレヴァスの中をのぞきこんだ。阿曽が、むむと呻いた瞬間、ハナは得体の知れない叫び声をあげながら、ドサドサとこっちへ駆けてきた。

一転瞬のことだった。

雪の橋は両端からもろくも崩壊し、ハナの姿は雪煙に包まれたまま、白い幻のように、音もなく氷河の割目に吸いこまれてしまった。

阿曽は氷の上にあおのけに倒れ、自分がここに残ったことをふしぎとも思わずに、月の出の雨後の空の色を、呆然とながめていた。

「ハナは雪といっしょに墜落しながら、私までひきこむのは愚だと考えたのです。それは愛情です。だから、そんなことも、やれたのだと思います」

そういう破格の条件の中で、超人間力を発揮できるものかどうかということで、ガイドの古老株が何人か証人に呼ばれた。