Japanische Klassiker mit Furigana
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ひゃくしょうやのすけのはなし
百姓弥之助の話
中里 介山
Lesen Sie 百姓弥之助の話 (ひゃくしょうやのすけのはなし) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.621 Zeichen · 99 Bildschirme
或朝の事、この野良猫の出現をつい池の向う島の祠の中で見出した。可なり毛色がよく肥りきった三毛猫であるが、用心深い様子で絶えずキョトキョトしながら寝込んで居る、それをこちらから遠眼鏡で見ると面中がきずだらけで有馬だの鍋島だのの猫騒動のヒーローを思い出させるような物すごい形相になっている。この一疋の野猫に散々手こずらされては居たが、それでもこの野良者の存在は鼠よけの為には予期しない効果を現わしているらしかった。御承知の通り植民地の一軒家だから、家ねずみ野ねずみも四方から押し寄せてここを巣にしない限りはない、それを一疋の野猫ががんばって居る為に幾分か魔避けの為にはなったと思う。
それからしばらくして本村のS氏から仔猫を三疋もらった。二三日すると一疋はポックリ死んでしまった。さてこれを育て上げるのが一骨だ。塾生の青年共にまかせて置いた日には前例がある。幸、今度は塾主としての弥之助も少しはこの植民地に落着くことが出来るのだから、引きつづいて少々のめんどうを見てやろうと思っていた。三疋のうち一疋は雌で二疋が雄である。雌は一疋はなれ雄同志二つがよく一緒に遊び歩いて来た。